宿泊施設を運営していると、良い口コミだけでなく、厳しい口コミや低評価の口コミが届くことがあります。
口コミが大切なことは、たぶんもう分かっているはずです。
だからこそ、悪い口コミを見た時に困ります。
たとえば、こんな口コミが届いた時。
主要道路の目の前で、夜に車の音が気になって一睡も眠れませんでした。最悪です。
正直に言って、これを読んだ瞬間に、公開できるような綺麗な返信文なんて、1文字も思い浮かばないこともあるはずです。
もちろん、お客様に不快な思いをさせたのは心苦しい。
それでも、頭の片隅では割り切れない思いが残ることがあります。
- 立地や建物の構造ばかりは、こちらではすぐに変えられない
- 防音には限界があることは、予約ページにも書いている
- 静かな田舎の宿だと思われたのかもしれないが、実際には道路や線路に近い立地でもある
言い訳をしたいわけではありません。
でも、宿の現実とお客様の期待のギャップに挟まれて、「では、どう返せば正解なのか」と、パソコンやスマホの前で指が止まってしまうことがあります。
そんな現場の葛藤を抱えたまま、ただ低姿勢に「申し訳ございません。改善します」とだけ並べるのも、どこか違う気がします。
悪い口コミへの返信で大切なのは、宿としての事情や割り切れない思いを、なかったことにして機械的に謝ることではありません。
宿側として伝えたいことを残したまま、口コミ欄に載せられる言葉へ整えることです。
この記事で分かること
- 悪い口コミに感情的に返さないための考え方
- 謝ることと、受け止めるだけでいいことの分け方
- 騒音・清掃・駐車場・チェックイン・立地への返信例文
- 宿側の本音を残しながら、公開できる文章に整える方法
悪い口コミへの返信は、いきなり書かない
悪い口コミへの返信で一番やりがちなのは、いきなり文章にしようとすることです。
でも、最初からきれいな返信文を書こうとすると詰まります。
まずは、順番を分けた方が書きやすくなります。
- 口コミを読む
- 宿側として言いたいことを書き出す
- 謝ること・受け止めることを分ける
- 公開できる言葉に整える
この順番にすると、感情的な返信にも、逆に謝りすぎた返信にもなりにくくなります。
たとえば、口コミに「駐車場が分かりにくかった」と書かれた場合。
宿側としては、こんなことを思うかもしれません。
- 初めて来る人には分かりにくかったかもしれない
- でも、駐車場自体をすぐ変えるのは難しい
- 案内はもう少し分かりやすくしたい
これをそのまま整えると、次のようになります。
駐車場の場所については、初めてお越しの方にも分かりやすくお伝えできるよう、事前のご案内を見直していきます。
本音は消えていません。
ただ、角だけ取れています。
悪い口コミに返信するときの基本
悪い口コミへの返信では、次の3つを意識すると書きやすくなります。
- 指摘された内容を受け止める
- 謝ることと、受け止めるだけでいいことを分ける
- できない改善を約束しない
宿泊施設の場合、すぐに改善できることと、簡単には変えられないことがあります。
改善しやすい内容には、たとえば次のようなものがあります。
- 清掃の見落とし
- 駐車場の案内不足
- チェックイン方法の説明不足
- スタッフ対応の不備
一方で、すぐには変えられない内容もあります。
- 立地
- 道路の音
- 線路の近さ
- 周辺にコンビニやスーパーが少ないこと
これらをすべてまとめて「申し訳ございません。改善してまいります」と返すと、不自然に見えることがあります。
変えられない内容は、無理に改善を約束しなくていい。
その代わり、事実として丁寧に受け止める。
これだけで、返信の印象はかなり変わります。
悪い口コミ返信でやってはいけないこと
悪い口コミへの返信で避けたいのは、次のような対応です。
- 感情的に反論する
- お客様の感じ方を否定する
- 「そのような事実はありません」と強く返す
- 必要以上に謝りすぎる
- できない改善を約束する
- 定型文だけで返す
特に難しいのは、宿側の本音が強く出すぎることです。
たとえば、次のような言葉です。
予約時に書いてあります。
その時間のチェックインはできません。
立地の問題なのでどうにもできません。
これらは、内容としては正しいこともあります。
でも、そのまま返すと冷たく見えます。
口コミ返信では、事実を消す必要はありません。
ただし、言い方は整える必要があります。
宿泊施設でよくある悪い口コミへの返信例文
ここからは、宿泊施設で起こりやすい指摘ごとに、返信例文を紹介します。
騒音に関する悪い口コミへの返信例文
口コミ例
道路沿いの部屋だったため、夜に車の音が気になりました。
音に敏感な人には少しつらいかもしれません。
宿側として言いたいこと
- 道路沿いなので、音が気になる人はいると思う
- 建物の場所は変えられない
- ただ、音の感じ方には個人差がある
返信例文
このたびはご宿泊いただきありがとうございました。
道路に近い立地のため、音の感じ方には個人差があるかと思います。いただいたご感想は、今後のご案内の参考にいたします。
ポイント
騒音は「必ず静かにします」と言えないことが多い内容です。
だから、過剰に謝るよりも、立地の特徴として受け止める方が自然です。
- 音が気になる人もいる
- 感じ方には個人差がある
- 今後の案内の参考にする
このくらいで十分な場合があります。
清掃に関する悪い口コミへの返信例文
口コミ例
部屋は全体的にきれいでしたが、洗面台の隅に少し汚れが残っていたのが気になりました。
宿側として言いたいこと
- 清掃で見落としがあったと思う
- 確認をもう少し丁寧にしたい
返信例文
お部屋全体についてきれいに感じていただけた一方で、洗面台まわりの清掃に行き届かない点があり申し訳ありません。確認の仕方を見直し、より気持ちよくお使いいただけるよう心がけます。
ポイント
清掃は改善できる内容です。
この場合は、言い訳せず受け止めた方が自然です。
ただし、「二度とこのようなことがないよう徹底します」と大げさに書く必要はありません。
小規模宿なら、次のくらいの表現が合います。
- 確認の仕方を見直します
- 気持ちよく使っていただけるよう心がけます
駐車場に関する悪い口コミへの返信例文
口コミ例
施設はきれいで過ごしやすかったです。
ただ、駐車場の場所が少し分かりにくく、到着時に少し迷いました。
宿側として言いたいこと
- 施設を快適に使ってもらえてよかった
- 駐車場の案内は、初めての人には分かりにくかったかもしれない
- 事前案内をもう少し分かりやすくしたい
返信例文
施設でゆっくりお過ごしいただけたようで嬉しいです。駐車場の場所については、初めてお越しの方にも分かりやすくお伝えできるよう、事前のご案内を見直していきます。
ポイント
このような口コミでは、良かった点にも触れながら、改善できる部分を受け止めると自然です。
「迷わせてしまい大変申し訳ございません」と重くしすぎるより、「初めての方にも分かりやすく伝えます」くらいの方が読みやすくなります。
チェックインの案内に関する悪い口コミへの返信例文
口コミ例
セルフチェックインに慣れていないため、最初は少し戸惑いました。
もう少し事前に流れが分かると安心できると思います。
宿側として言いたいこと
- 初めての人には説明不足だったかもしれない
- 事前メールやチェックイン時の説明を分かりやすくしたい
返信例文
セルフチェックインについて分かりにくい点があり、ご不安な思いをさせてしまい申し訳ありません。事前メールやチェックイン時のご案内で、流れをもう少し分かりやすくお伝えできるよう心がけます。
ポイント
運営側にとっては当たり前でも、初めて泊まる人には分かりにくい。
ここは素直に受け止めた方がいい内容です。
「ちゃんと事前にメールしているのに」と思うこともあります。
でも、伝わっていなければ、案内の見せ方を変える余地はあります。
悔しいですけどね。
それが現場のリアルなところです。
言い返したい気持ちを少しだけ深呼吸して、言葉を整えましょう。
立地や周辺環境に関する悪い口コミへの返信例文
口コミ例
宿は落ち着いていて良かったですが、近くにコンビニやスーパーがない点は少し不便でした。
宿側として言いたいこと
- 周辺に店が少ないのは事実
- 静かな環境ではあるが、不便に感じる人もいると思う
- これはすぐには変えられない
返信例文
落ち着いた環境でお過ごしいただけたようで嬉しいです。おっしゃる通り、周辺にコンビニやスーパーは多くなく、その点は少し不便に感じられるかと思います。
ポイント
立地や周辺環境は、すぐに変えられません。
この場合、「改善します」と言うよりも、事実として受け止める方が自然です。
無理に次のように書くと、かえって不自然になります。
今後改善してまいります。
次回は快適にお過ごしいただけるよう努めます。
どうにもできないことは、どうにもできない。
ただし、そのまま言うと強すぎます。
だから、次のくらいに整えるのがちょうどいいです。
その点は少し不便に感じられるかと思います。
悪い口コミへの返信文の型
悪い口コミへの返信は、次の型にすると書きやすくなります。
- 利用してもらったことへのお礼
- 良かった点があれば触れる
- 指摘された点を受け止める
- 改善できる点だけ改善姿勢を示す
- 変えられない点は無理に約束しない
例文にすると、こうです。
ご宿泊いただきありがとうございました。
〇〇についてそう感じていただけたようで嬉しいです。
一方で、〇〇について分かりにくい点があり、ご不便をおかけしました。
今後は〇〇をもう少し分かりやすくお伝えできるよう心がけます。
この型に当てはめるだけでも、感情的な返信になりにくくなります。
謝ることと、受け止めることを分ける
悪い口コミを受けると、つい全部に対して謝りたくなります。
でも、全部に謝る必要はありません。
謝った方がいい内容には、次のようなものがあります。
- 清掃の見落とし
- 案内不足
- スタッフ対応の不備
一方で、次のような内容は、宿側ではすぐに変えられません。
- 立地
- 周辺環境
- 道路の音
- 近くに店がないこと
その場合は、謝罪よりも「受け止める」方が自然です。
謝ること。
受け止めること。
改善すること。
変えられないこと。
これを分けるだけで、口コミ返信はかなり書きやすくなります。
そのまま返す前に、一度整える
悪い口コミへの返信では、宿側にも言いたいことがあります。
それは悪いことではありません。
むしろ、本音がまったくない返信は、読んだ人にも伝わりにくいです。
ただ、そのまま書くと強く見えることがあります。
逆に、丁寧にしようとしすぎると、不自然な定型文になります。
「ペイトー」は、そんなときに使える小さな下書き場です。
実際の口コミと、宿側が返信で言いたいことを入れると、口コミ欄に載せやすい文面に整えます。
きれいごとに寄せすぎず、かといって角が立ちすぎないように。宿側の言いたいことを残しながら、読まれて困らない言葉に直していきます。
返信案は、「掲載用」「人間味あり」「短め」の3つ。
そのまま使っても、少し手直ししても構いません。
感情のまま返してしまう前に。
あるいは、いつもの定型文で済ませてしまう前に。
一度、ペイトーに言いたいことを置いて、返信文を整えてみてください。